法月
フィリップ・マクドナルドの新刊『生ける死者に眠りを』(論創社)に「技巧派作家の『秘められた傷』」という解説を書きました。その中で未訳の戦争小説Patrol(1927)と、ハリウッドで映画化された「肉弾鬼中隊」(1934)について触れたのですが、後になっ…
ひさびさに告知です。 「Creator’s NEST」というイベントのゲストに呼んでいただきました。日時:1月10日(日)16:00〜(15:30開場) 場所:文学バー Bar Liseur@大阪南船場 詳細はこちらで Bar Liseur 第53回クリエイターズ・ネストのゲストは、法月綸太…
3月14日(金)、五反田のゲンロンカフェで、東浩紀氏と対談することになりました。詳しくはこちらの告知を参照 →法月綸太郎×東浩紀「ふたたび謎解きの世界――名探偵と愛のゆくえ」東氏とは以前、「謎解きの世界」というタイトルで、エラリー・クイーンについ…
1月30日、芳林堂書店高田馬場店にて催されたトークショー&サイン会 〜『ノックス・マシン』のつくり方〜 に来ていただいた皆さん、それにトークショーのお相手を務めてくださった杉江松恋さん、どうもありがとうございました。そのトークショーの場で、「学…
「推理倶楽部CATS」というところから、謎の招待状が届いた。ロンドン郊外の元貴族の屋敷で起こった連続殺人事件の犯人を推理してほしいという。「謎解きLIVE 英国式ウイークエンド殺人事件」 NHK BSプレミアム 12月7日(土)午後9時〜/12月8日(日)午後11…
「ジャーロ」No.47の「〈MYSTERY ランダムウォーク〉(第16回)毒殺と確率論的世界」で、限界研・編『21世紀探偵小説』収録の「結語――本論集の使用例」(飯田一史)に言及したところ、飯田さんのブログ「insight critic」で的確なコメント をいただきました…
『増補版』の解説のラストで、都筑道夫晩年のミステリ観の変化をめぐって、ジョルジュ・シムノンのメグレ警部シリーズに言及したのですが、なにしろメグレ物は巻数が多いので、未読本が山のようにある。だからメモというより、宿題といった方が正確でしょう…
昨日のエントリで、『増補版』が「刊行されました」と書きましたが、実際に書店の店頭に並ぶのは、今日か明日以降になるみたいです。まあ、それはともかく。今回の『増補版』には、佐野洋氏との「名探偵論争」を始めとして、「都筑道夫の文章の中から、『黄…
都筑道夫『黄色い部屋はいかに改装されたか? 増補版』が、フリースタイル社から刊行されました。編者の小森収氏からの依頼で、私も10ページほどの解説を書いたのですが、紙幅の都合その他で書きそびれたことがずいぶんあります。刊行記念という名目で、書き…
カミの『機械探偵クリク・ロボット』を読んだ。機械探偵(DETECTIVE-A-MOTEUR)というのは、アマチュア探偵(DETECTIVE AMATEUR)の語呂合わせかな。「五つの館の謎」「パンテオンの誘拐事件」の二話を収録。 「五つの館の謎」は予想外にまっとうな本格。 「…
Twitter上で、いわゆる「ゲーデル問題」に関する議論が行われていたらしい。私はミステリー界にこの問題を持ち込んだ元凶とされているので、歴史的な資料として――自戒と反省もこめて――『現代思想』(1995年2月号)に寄稿した「初期クイーン論」の導入部分を…
東浩紀氏の『クォンタム・ファミリーズ』の書評を、25日発売の「波」(2010年1月号)に寄稿しました。量子コンピュータや並行世界の出てくるガチガチのSFですが、ロス・マクドナルドや横溝正史、最近の作品だと三津田信三氏の刀城言哉シリーズみたいな、入…
「フリースタイル」8号に「海外ミステリ読者必携の書」という題で、『都筑道夫ポケミス全解説』の書評を寄稿しました。その文中で「『殺人をしてみますか?』の解説なんか、後年、瀬戸川猛資がW・L・デアンドリアを持ち上げる時、だいぶ参考にしたのではな…
下記トークイベントの参考図書(?)として、『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』(ギルバート・アデア)を徹夜で読んでから、今朝の朝刊を見たら、アラン・ロブ=グリエの訃報が載っていて驚いた(『作者の死』→ロラン・バルトつながり)。シンクロニシテ…
引き続き、ヴァン・ダインと「大量死理論」について。戦争の予兆に真っ先に反応するのは、株屋だという話があります。同じように、戦争の惨禍が残した空気を肌に感じて、それを言葉にするのも戦場の兵士だけとは限らない。むしろ戦争の当事者の方が、トラウ…
クリストファー・プリースト『双生児』を読んで、レン・デイトンの歴史改変スパイ小説『SS−GB』(1978)――「イギリス本土駐留ドイツ親衛隊」の略語で、「もし1941年にヒトラーが英国を占領していたら歴史はどう変わっていたか?」をテーマにした異色作――…
吉野仁氏が4月16日付の「孤低のつぶやき」で、「モーダルな事象(やはり長い)」というテキストを書いているのを興味深く読んだ。吉野氏は、菊地成孔+大谷能生『憂鬱と官能を教えてくれた学校』の内容を簡単に紹介しながら、「あっ、これはまさしく『モーダ…
河出文庫の新刊『アーノルド』は、『怪盗グリフィン、絶体絶命』に素敵な挿画を描いてくださった本秀康氏の自選漫画「ベスト本」。レトロでほのぼのしたタッチの絵柄と、ビター&ブラックなストーリーのギャップから、「異色作家短篇」風のテイストがにじみ…
収録作品のセレクトと巻末解説を担当した『物しか書けなかった物書き』(ロバート・トゥーイ)の見本が届く。世界初の快挙だけに、感慨もひとしお。ところで、今回の解説では「短篇」と「短編」のどっちで表記すればいいか、ずいぶん迷った。現在の主流は「…
年末年始、『アララテのアプルビイ』と『証拠は語る』を読んだ勢いで、未読だったイネスの第一作『学長の死』も片付けてしまう。マイクル・イネスという人はある種の文学的閉所恐怖症で、クローズド・サークル=「潜水艦」的なものを忌み嫌っていたんじゃな…