文楽
先日、国立文楽劇場に文楽を観にいってきました。プログラムは、「花競四季寿」、「御所桜堀川夜討」、「壺坂観音霊験記」でした。
「花競四季寿」は、四季を踊りで表現したもので、冬の部の鷺娘の舞の美しさ、妖しさはさすが文楽、人形の醍醐味だと感じました。
「御所桜堀川夜討」は、弁慶が忠義の心から実の娘を殺すという、説教くさく忠義心を扱った話でした。自分はどうも、忠義心の話はちょっと苦手です。もっとも、文楽の魅力の一つにストーリーのみごとさはあって、「御所桜堀川夜討」も盛り上げ方やプロットはよく考えられていると感心はさせられたのですが。弁慶が娘を突然殺し、男泣きに泣くシーンの人形遣いは迫力がありました。
「壺坂観音霊験記」は、観音信仰のおかげで盲目のだんなさんの目がみえるようになったというおめでたい話。ほのぼの系かと思って見始めたら、途中で、だんなが自殺したと思って、奥さんが身投げするシーンがありました。高い岩山のうえに奥さんが登り、はるか下の川に身を投げるのですが、このときの人形の落とし方が見事としがいいようがなく、唖然としました。奥さんが飛び降り自殺を試みる場目なのですが、だんなが死んだかと思い、ふっと心の糸が切れたかのように死を覚悟して、いさぎよく、けれどもあっけなく飛び降りる一刹那の美しさは不思議な感じでした。
今年もすばらしい舞台にたくさん出会えればと願っています。