「街中がテーマパーク宣言」

(11日の「日乗」から“鉄筋”つながり、っつうことで)
浦安鉄筋家族 (6) (少年チャンピオン・コミックス)
 千葉県浦安市に、「フラワー通り」という場所がある。昔、ビートたけしがやっていた『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の、人気のない商店街を応援するコーナーで取り上げられ一時的に盛り上がったものの、結局さびれて今に至る地域である。
「フラワー通り」では、明治2年に建築された住宅が浦安市指定有形文化財になっており、一般公開されている。こじんまりしたテーマパークといえようか。
 一方、そこからさほど離れていないところに、思いっきり斜めに傾いた木造住宅が建っている。二階建てのわりに屋根が低いその家屋は、昔の日本人は背が低かったんだなぁと実感させるが、恐ろしいことに、現在も人が住んでいる。あそこまで歪んでいると扉の開け閉めが大変だと思うけど、地震大丈夫ですか?
浦安鉄筋家族』(浜岡賢次)という、昭和レトロな家並みが描かれたギャグ漫画を思い出す。民家が傾いている風景は、その漫画に近い。
 今、「ちばデスティネーションキャンペーン」という千葉県とJRが組んだ観光キャンペーンが展開されており、浦安でも、「街中がテーマパーク宣言」を合言葉にいろいろやっている。そこで、市外から訪れた観光客が、浦安市指定有形文化財住宅と傾いた民家を見たとする。いったい、どちらのほうにテーマパーク的な満足感を覚えるだろうか? きちんと管理されて説明員もいる指定有形文化財より、今にも倒れそうな民家のほうに『浦安鉄筋家族』を読むような臨場感、醍醐味を覚えるのではなかろうか。――正直な話、僕がそうなのである。


 かつて『元気が出るテレビ!!』に取り上げられたことは、街の中心ではなくなった「フラワー通り」の(一過性の)テーマパーク化だった。それは、浦安の埋立地域に東京ディズニーランドが開業してから2年後、1985年の放送であった。
そして、現在の浦安で、またもや、「街中がテーマパーク宣言」……。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20070201