ヘンデルを聴きながら

ヘンデルの『二つの合奏団のための協奏曲』をBGMにしながら仕事をしていたら、第2番ヘ長調・第5楽章の途中で、あれま、これって、映画『英国式庭園殺人事件』(英、1982)で流れていたマイケル・ナイマンの曲とよく似ているなあ、と、ふと思った。

ヘンデルの曲で同じ旋律が何度も何度も反復されるあたり(オスティナートというやつ)の印象が、実にナイマン的だなあという感じなのである。資料を確認したら、ナイマンはパーセルの楽曲をモチーフにしているそうだけれど、ヘンデルパーセルも同じバロック時代の作曲家だから、手法が似ていても一応おかしくはない。

ピーター・グリーナウェイ監督・脚本の『英国式庭園殺人事件』は紀伊国屋書店から発売されており(KKDS-183)、無修整版が簡単に観ることが出来るようになった。封入の解説書によると、邦訳もあるミステリ作家のリンダ・ラ・プラント(リンダ・マーシャルとしてクレジット)が役者の中にいたそうで、これには、びっくり。そういう意味でも(どういう意味だよ)、海外ミステリ・ファンなら一度は眼を通しておきたい映画といえる(一度でいいですけどね【^^;】)。

紀伊国屋書店は、『扉の影の秘密』(ルーファス・キングの原作は、新樹社・ぶらっく選書の一冊として、かつて翻訳されている)とか、『ドクトル・マブゼ』とか、ミステリ・ファンにとって気になる映画をソフト化してくれていて、とてもありがたい。

ヘンデルの『二つの合奏団のための協奏曲』は、ずいぶん前に、アビゲイル・パジェットの『幼児虐待捜査官』(福武書店、1994年刊。後に『封印』と解題して文庫化)で、シリーズ・キャラクターである女性主人公が心を落ち着かせるためにテープに録音しておいたものを聴くという場面を読んで以来、ずっと気になっていた曲なのであった。

当方の探し方が悪いのか、邦盤がなかなか見つからず、昨年末にキングレコードからドイツ・シャルプラッテンのリマスタリング盤シリーズの一枚(マックス・ボンマー指揮、ライプツィヒ新バッハ合奏団。KICC-9433)として出たので、簡単に聴けるようになった。古楽器演奏でないのが個人的には残念なのだけれど、CDの山のどこかにあるはずの、以前に買った、2曲しか入っていなかったと記憶する盤に比べ、キング盤は第3番まで入っていて、これで全曲らしいから、やっぱりありがたいのである。

ちなみに、肝腎の『児童虐待捜査官』(か、シリーズ2作目の『わらの少女』)の方は、本の山に埋もれて、どこにあるのか分からない…… (- -;