フジロックフェスティバル

7月末に新潟県の苗場で開催されたフジロックフェスティバルに行ってきた。
http://fujirockfestival.com/
ここのところ、音楽を聴く時間が取れないのだが、それでもフジロックに出かけるのは、会場となった苗場スキー場の地形を活かした会場のつくりが気に入っているせいだと思う。
夏の音楽フェスティバルでは、他に千葉の幕張メッセ千葉マリンスタジアムで開催されるサマーソニックというのもあり、我が家からの交通の便がよいので出かければいいのに存外足を運べない(私が行ったのはRADIOHEADTHE DAMNEDの出演した年だけである)。今年のサマーソニックは自分の好きなバンドが出演するのにもかかわらず、チケットを買いそびれたのは、手軽さゆえに気合いの入れ方が足りないのと、都市型フェスにいまひとつ祝祭としての非日常性を感じていないせいなんだろう。
フジロックフェスティバルでは複数の会場を行き来するために砂利道や山道や森の中を歩き、時には雨に打たれ、夜の寒さに耐えながら音楽を聴くのだが、これを人に話したら「修行に行くみたいですね」と言われたことがある。まあ、私にとっては確かにそうかもしれない。たぶん他の人には「修行」にはならないだろうが、乳母日傘で体力なしの私には「修行」なんである。とはいえ「修行」ならば、山登りで十分対応できるはずだが、そこまでストイックになれない私は、音楽という飴につられてもくもくと砂利道、山道を歩く次第。つまり私にとってのフジロックは「修行」と「歌舞楽曲」の組み合わせによって作られる非日常を過ごす場なのである。
それにしても年々会場の規模が拡大し、山道の道幅が広げられたり、橋が大きなものに変わったりとインフラ整備がされていく経過は、ちょうど村落が作られ発展していくのを見せられているようで興味深い。本でいえばこの本「絵で見るある町の歴史―タイムトラベラーと旅する12,000年」を見ているような感じか。今年の最大の会場の変更点は、雨が降ると泥道になって人の移動が困難になっていたグリーンステージ後方の通路が舗装されていたことだろう。これまで木材チップが敷かれるだけでありがたいと思っていたのに舗装だからウソのようだ。快適になるのはありがたいけれど、これまでの苦労が懐かしくなるのは(「昔のグリーンステージは道がぬかるんで大変だったんだ」と苦労自慢をしそうだ)、年寄りの懐古趣味みたいで我ながらおかしいと思う。

さて、肝心の音楽の方だが、印象に残っているのは次のもの。

  • HELLOGOODBYE いい感じに錬られたポップ。
  • MUSE 以前グリーンステージに出演したときは、ホール公演の延長みたいな印象があったが、今回は野外にぴったりのスケールの大きい演出で、その変化にびっくりした。昔の曲もアレンジを変えて演奏していて、聞き慣れているけれど新しい感があっていいなあ。
  • BOOM BOOM SATELLITES もう何度かフジロックには出演しているらしいが、今回初めて聴いた。えらいかっこいい音である。テクノもボーカルが入っているだけですごく聞きやすくなるものだなあと思う。
  • MIKA アルバムジャケットと同じくらいカラフルな音と色のあるステージ。
  • BATTLES すっごく変な音の配列で、いったい何なんだ、とずっと聞き入ってしまう。