羽住

 先日、ちょっとした相談を受けた。
 ミステリとはまったく関係のない、日常的に接する人からの、些細な選択に困っている内容だった。
 相手は別に悪いことはしていない。するつもりもない。もしかしたら、肯定の意見を求めていたのかもしれない。単に背中を押してもらいたかっただけかもしれない。
 でも、歯に衣着せぬ言葉で返してしまった。
 私は、ほわわわんとした雰囲気があるみたいで、何か強い反論を返しても、やさしく聞こえるらしい。
 それが、固い表情で、バシっと切り捨てるように言ってしまったため、相手には大打撃を与えてしまった。
 悩む必要なくない? と思えるほど、羨ましい環境にいる人だった。私の中に嫉妬心があったのかもしれない。
 だから、相手の心の奥底に潜むものを、ちゃんと受け止めていなかったんだな、と後になって思った。
 結論を伝える前に、もっと聞き込みを繰り返し、心情を察知することが大切だ。
 ミステリが好き、特に伏線を手繰り寄せて真相を推理するのが好きなのだったらね。
 自戒の意を込めて記します。反省。