独房&人形
「http://www.geocities.jp/mitsuihck/」の一環として開催されている「独房展」を見に、香川県の坂出市を訪れた。
旧坂出警察署は昭和12年に建設されたが、現在は廃墟となっており、近い将来に解体撤去される予定だとか。その建物内に設置された留置場の独房を表現空間として13組のアーティストが作品を発表するのが「独房展」である。各アーティストが個々の独房をギャラリーに見立てて、自らの絵画・造型作品を展示しているのだ。建物は取り壊し間近ということもあって何ら手は入れられておらず、内装はズタボロ。そうしたアングラな空間に、幾つもの作品が展示されている。
ある独房の中は古新聞の山に覆いつくされ、その下に人間が倒れていた。一瞬、マルセル・デュシャンの「遺作」(「(1)落下する水、(2)照明用ガス、が与えられたとせよ」)へ捧げられたオマージュかと思った。が、どうやら何らかのパフォーマンスではなく、作業に疲れたアーティストの方が単に仮眠をとっていただけのようだった。
独房展を見ていて、無性に懐かしさを覚えた。なぜだろうと考えるうち、学祭前日の深夜、大学構内の部室に泊まりこんでいたときの祝祭感に近いのだと思い至った。
旧坂出警察署を出た後、近所にある「鎌田醤油公式通信販売サイト「いまどきの醤油屋」」を訪れる。期間限定イベントである旧坂出警察署お別れプロジェクトと事なり、こちらは常設の美術館。坂出地元の醤油醸造会社である鎌田醤油(株)の敷地内にある洋館「淡翁荘」に、四谷シモンの人形たちが展示されている。
開館日時が、火・木・土の10:00〜16:00のみ(しかも祭日は休館)と商売気がまったくないのが特徴だが、おかげで他のお客が少なく、淡翁荘の瀟洒な内装と、そこにゆったりと飾られたシモン人形にじっくり堪能することができる。なお、商売気のなさを示す一例として、以前8月に人形館を訪ねたところ、てっきり開いていると思ったら、お盆休みだと言われたことがあった。あの〜、お盆て「祭日」と違うと思うが……いや、逆に本来の意味の「祭日」と言えるか?
そういえば、淡翁荘の建築は昭和11年ということなので、旧坂出警察署とほとんど同時期に建てられたのだな〜。