澁澤龍彦 幻想美術館@横須賀美術館
というわけで、よい天気となった今日は横須賀美術館に「澁澤龍彦 幻想美術館」展を見てきた。
展示作品は、すでに平凡社から図録として刊行されているので、収録作品を確認するようなところもあるけれど、やはりオリジナル作品を見ると、改めて気がつくところも出てくるもので、覚え書きをいくつか。
- 山本六三の『砂の上のヘルマフロディトス』『スフィンクス』が内田善美の絵の静謐さと似ていると思った。
- ピラネージの円塔(「牢獄」より)は、廃墟に関する本にも引用されるので、その絵自体は見慣れているけれど、本に載っている細密な描写が頭にあっただけに、実物がかなり大きく描写も案外荒いのは意外であった。
- 細江英公の「知人の肖像」で撮影した澁澤龍彦と矢川澄子、唐十郎と李礼仙の写真の構図が同じ。どちらも一見日常のように見えて浮世離れしている(それぞれ違う方向に)。
細江英公が撮影したサグダラ・ファミリア大聖堂の写真を重ねた澁澤龍彦の写真。たぶん一般的に澁澤龍彦のイメージといえばサングラスにパイプだと思われるが、私の持つ澁澤龍彦のイメージはこれである。未だ完成しない教会の持つ過去から未来へ続く時間、そして宇宙を身にまとう人。どうもこの写真のせいで、アイドル的に澁澤龍彦を信奉しているような気がしないでもない。でもそれは写真の力のせいでもあろうし、澁澤の呈示した世界のせいでもあろう(と言い訳をしてみる)。
横須賀美術館での展示は11月11日まで。
ミュージアムショップではただいま仙台文学館で開催中(11月25日まで)の「澁澤龍彦 幻想文学館」の図録も販売されている。横須賀美術館でのオリジナル商品として、『高丘親王航海記』の装幀で使われたキルヒャーの『シナ図説』と澁澤龍彦の直筆地図を用いた一筆箋がある(2種類の図柄があるのでなんとなくお得感がある)。
あと「澁澤龍彦 堀内誠一 旅の仲間」が10月23日〜28日で仙台市のギャラリー杜間道で開催。堀内誠一の旅行記のイラストレーション原画の他、二人の書簡が展示されるとのこと。
- 作者: 巖谷國士
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 大型本
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