雨の日と澁澤龍彦
今日は横須賀美術館で開催されている「澁澤龍彦 幻想美術館」展を見に行く予定にしていたが、不穏な天気だったのでおとなしく家にいることにした。
で、未読だった牧野修『水銀奇譚』(理論社)を読んだのだが、この作品では澁澤龍彦が重要な位置を占めているんですね。シブサワを読む小学生って、ちょっとやだなあ(一人ならともかく七人もいるのだ)と一瞬思ったけれど、七人が集まるに至った秘密通信の仕掛けとそれが可能となるだけの環境を整えた学校図書館は、とても魅力的であるし、自分は世界から取り残された、たった独りの人間と思っていた少女が、壮大な冒険の中(壮大といっても舞台は地方都市の小学校区の範囲。それなのに壮大に読ませてしまうのだ)で見せる心の変化の描写がこれまたよし、で湿度の高い雨の日に読むよい本でありました。