批評のこと。(7)

 批評家ならぬ雑文家が、批評について考えてみる「2008-01-31 - 研究会日乗」の続き。
 ここまで書いてきたことには、ある視角が欠けていました。
 その視角とは、「批評されるためには、なんらかの資格がいるのか」という問いです。
 日本記号学会第28回大会*1において、室井尚氏(横浜国立大学)が「BL(ボーイズラブ)は批評に値しない」「BLは屑だ」と発言なさったとき、目から鱗が落ちました。
 批評されるかどうかということと、客観的価値(の定義はともかく)の有無とのあいだに、有意な関係があるという考えが存在しているらしいのです。
 ミステリというサブカルチャーもまた、「批評に値しない」と見る人がいるでしょう。
 あるいは、「批評に値する」と見る人も。
 さらには、ミステリが大好きだから批評しないでほしい、紹介だけでいい、という人も(このばあい、逆に「批評はミステリに値しない」ということになる)。
 個人的には、批評と「値〔あたい〕」とは無関係と考えているので、「盛んに批評される」ことが漱石プルーストの「値」なのだったら困ったものだと思いました。
 こういったことを考えさせられた大会でした。詳細は「http://d.hatena.ne.jp/chinobox/20080513/1210647064」「http://d.hatena.ne.jp/chinobox/20080513/1210658254」「http://d.hatena.ne.jp/chinobox/20080514/1210688227」にて。
2009-01-26 - 研究会日乗」に続きます。【id:chinobox