没後20年 中井英夫展@小樽文学館 つづき

もうすぐ『虚無への供物』の開幕もしくは中井英夫の命日の12月10日です。
現在、小樽文学館で開催中の「没後20年 中井英夫展」を見てきました。(2014年1月13日まで)
http://otarubungakusha.com/exhibition/201304804
中井英夫の生涯を辿りながら、交流のあった作家の書簡や献呈本、写真、雑誌等の資料を展示して、昭和の文学史を中井視点で俯瞰できるもので、中井英夫愛読者以外にもお勧めです。
特に乱歩の『孤島の鬼』(紋別市郷土博物館所蔵)の生原稿と竹中英太郎の挿絵(竹中英太郎記念館所蔵)がセットで公開されるのは、めったにない機会だと思います。
というか、そもそも『孤島の鬼』の原稿が東京で公開されたことはあるのでしょうか?
ちなみに、中井英夫と北海道との縁については、本日12月3日付け読売新聞掲載の「届かなかった乱歩への「供物」 没後20年 中井英夫展に寄せて」(本多正一)の中で書かれています。

私が訪問した時点では、まだ展覧会の図録(冊子)は販売されていませんでしたが、見本がありました。
予価800円、12月中旬販売予定(奥付は2013年12月10日)。通信販売もあるそうです。
中井英夫スペシャル」や「中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)」では掲載されていない初公開資料等もありましたので参考に書いておきます。(記憶違いで既出のものがありましたら、すみません)。

【今回の目玉】2013年10月22日付け読売新聞で紹介された中井英夫から江戸川乱歩への『虚無への供物』完成を知らせる書簡。
(乱歩邸に50年間保管されていたのだなあ、と感慨深いです)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20131022-OYT8T00398.htm

◆ 北海道の文学館ですから北海道関連内容として、
・1947年札幌滞在記(『黒鳥館戦後日記』に既出?)
・「札幌にて」未発表原稿

◆ 他に、写真とか図面とか、
・市谷の家の前の写真(なかなかハンサムに写っています)
・羽根木の家の間取り
・羽根木の書斎、書棚の写真
・乱歩の『貼雑年譜』の最終ページ(塔晶夫『虚無への供物』出版記念会の案内。私は未見ですが、複製版『貼雑年譜』では既出なのでしょうね。)

(ちなみに、展示品のうち冊子に掲載されていないものもあります。)