イス的展

高松のまちなかに出かけたついでに、高松丸亀町商店街A街区第一種市街地再開発事業――今は「高松丸亀町壱番街」と呼んだ方が通りがよいか――を覗いた。すると、ビルの2階と4階で「イス的展」なる美術展を開催していた。「イス」ではなく「イス的」と銘打ったのがミソ。昆虫型のイスや段ボール製のイス。はたまた田舎のバスの待合所を彷彿とさせるような、前衛的で、それでいてどこかノスタルジックなイス。そんな変なイスが並べられている。おもしろいのは、イス的美術とはいってもイスなので、お客さんが座ってもよいのだ。もっとも、ダンボールバギーには乗っていけないようだった。たしかに私なんかが座ると、確実に潰れそう。
高松丸亀町壱番街といえば、定期借地権を活用した全員同意型の権利変換により、地価の顕在化を回避して再開発の事業性を高めたとして、全国的にも注目を集めている。あるいはまた、上層階を住宅系とすることで都心居住の促進を図る、あるいは三越高松店と連携して低層階にブランド店を入れるといった試みも知られている。はたまた、現在建設中の巨大なドームの仕上がりも気になるところ。もっとも、そうしたハードや商業機能だけで、中心市街地に人を呼び戻すのが至難の業であるのも、周知のとおり。
だから、ハコや商売だけではなしに「そこに行くと何かおもしろいことをやってるぞ」という雰囲気をつくりだすことが重要だと思うのだ。チラシには「丸亀町アートプロジェクトでは、商店街でお買い物だけなんてもったいない!と商店街関係者や地元で活躍するアーティスト・市民有志が集まって、みんながワクワクできるアートでトンチンカンな企画をまじめに検討しています」とある。「商店街関係者」が「商店街でお買い物だけなんてもったいない!」と言うのは、考えてみればすごいことかもしれないが、おそらく正しい認識なのではないかと思う。
話は変わるが、つい先日、ようやく「直島スタンダード2」に行ってきた。なかなか愉しい経験であった。機会があれば、いずれまた報告したい。