黒羊の建築を見た

先日、日帰りで長崎出張に行ってきた。仕事が終わってから予約した便まで時間が空いたので、長崎ぷち観光と洒落こみ、グラバー園に出かけ、グラバー邸、ウォーカー邸、リンガー邸など西洋建築を堪能する。このグラバー園には10年以上前に訪れたことがあったのだが、ほど近くに建つ旧香港上海銀行長崎支店を見学したのは今回がはじめて。
設計者が下田菊太郎ということで、どこかで聞いた覚えがあると思ったら、帝冠併合式の提唱者にして、辰野金吾やF・L・ライトとも確執のあった人物であった。自ら「建築界の黒羊」を名乗った異貌の建築家である。篠田真由美「建築探偵の事件簿」シリーズでも言及されているので、ご記憶の読者もいるかもしれない。
この旧香港上海銀行長崎支店は、下田の設計した建築物しては唯一現存しているものだという。しかし、明治37年に建築されたこの建物、1階が連続アーチのアーケード、2・3階にコリント式円柱が並び、その上に三角破風の屋根が載るといった構成で、存外にオーソドックスな印象を受けた。