批評のこと。
限界小説研究会編『探偵小説のクリティカル・ターン』をいただきました。
巻末の、笠井潔「批評をめぐる諸問題──おわりに」には、巽昌章・東浩紀・千街晶之・丸山眞男・島田荘司・ヴォルィンスキー・埴谷雄高・ドストエフスキー・唐沢俊一・有栖川有栖・二階堂黎人・保坂和志・高橋源一郎・田中和生・水牛健太郎といった人たちの名前が出てきます。
この名前の並びを見ただけで、
「ひょっとしてこれは、小説と批評をめぐる、例のアレの話かな?」
と思う人もいるかと推測しますが、まさにアレの話です。
私はなにしろ「いま」に興味のない、20世紀の遺物なので、いわゆる状況論(とくに先行世代との「断絶」とやらを語る文章)を読んでも、イマイチ咀嚼できないことが多いのですが、この「批評をめぐる諸問題」という文は、「いま」を語るように見えて、じつは「近代」のはじめから連綿と続いてきた問題をあつかっているので、批評家ではなく雑文家である私にとっても、いろんなことを考える刺戟になりました。(「2008-01-19 - 研究会日乗」に続く。)【id:chinobox】