ピンホールカメラで横浜を撮る その2

外交官の家


前回に引き続きピンホールカメラの話。
4月以来、折りを見つけてはピンホールカメラであるところのお菓子箱を道端に置いて撮影をしている。何度か撮影しているうちに気がついたこと。三脚を立てていると、三脚の上にあるのがお菓子の箱でも、人様にカメラとして認識してもらえるようなのだ。どうも三脚の上にあるもの=カメラ、あるいは三脚そのもの=カメラ、と世間では判断されるらしい。
お菓子箱を直に地面に置いて撮影していると不審物を仕掛けた怪しい人になってしまうが、三脚付きで撮影をしていると「撮れてますか」とか声をかけられるし(「釣れてますか」みたいだ)、小さな子どもが通りかかると三脚にぶつからないように親御さんが子どもに「カメラよ」と注意を促してくれるし。ピクトグラムではカメラは黒い長方形に白抜き円の組み合わせで描かれるが、長方形に三本直線というのもアリかもしれない。

写真は横浜の山手イタリア山庭園内にある「外交官の家」。ここは結婚式会場としても利用されていて(今はやりのお屋敷ウエディングというものですね)、撮影中も午後からの式の準備で人が行ったりきたりしていたが、ピンホールカメラなので、人は写っていない。ちょっと西澤保彦の『ナイフが空から降ってくる』を思い出してしまった。ちなみに篠田真由美『桜闇』収録の「オフィーリア、翔んだ」に出てくる館はこの建物が念頭に置かれている。