陽気なインスマウス、暢気なセカンドインパクト? または、個体発生は系統発生を繰り返す

TVで『崖の上のポニョ』の宣伝を見ていて、どこか既視感を覚えた。ギョロ目の童女がスカートを翻して、街中を駆け回る姿を繰り返し眺めるうち、諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズに登場するクトルーちゃんに似ていると気づいた。
我ながら、あんまりな連想だなと苦笑しつつ、『ポニョ』を見に劇場に出かけて驚いた。ポニョは、旧支配者な大顔面の奥さんと、人間の男性の間に産まれたハーフのお子さんであったのだ。何なんだこの設定の類似は。
ポニョの覚醒によって、地球はセカンドインパクトさながらの週末風景を迎える……と書いていて、「終末風景」の誤変換だと気づいたが、作中の暢気さはむしろ「週末風景」のままでよいと感じる。ルルイエの館にて死せるクトルー夢見るままに待ちいたり。
余談ながら(て、全部が余談といえば余談だが)、魚から半魚人(と作中ではっきり言ってる)、そして人間へと変態するポニョの姿を見ていて、エルンスト・ヘッケルの言葉「個体発生は系統発生を繰り返す」を想起した。そういえば、このヘッケル氏、海中に棲息するクラゲなどの無脊椎動物を描いた美麗な博物学図譜でも知られていたはず。
などと、いろいろ変な感想を書いてしまったが、おもしろかったですよ『崖の上のポニョ』。ポニョかわいいし。